PTNA(G級金賞)

時のG級のプログラムは、予選10〜15分、セミファイナル15〜20分、ファイナル30分(プログラム一部重複可)。セミファイナルまでの曲の組み合わせと時間が、僕が東京藝大の入試に向けて準備し始めていたプログラムとガッチリかみ合ったので受けたのだが、まさかのファイナル進出。講習会(石川ミュージックアカデミー)の日程のど真ん中で石川⇔東京を往復しての演奏、しかも30分退場なしの長丁場は初めてだったにもかかわらず奇跡的にほとんど無傷で弾き終えた。しかし、このファイナルと曲が重なっていなかった講習会の受講生演奏会は、疲れもあって悲惨なことに…。実は、一次予選でも応募者の多さから日程が変更になり、仕方なく高校の定演の合唱をリハだけ休ませてもらい、東京で弾いた後京都にトンボ帰りしてチマローザのレクイエムを暗譜で歌う、という超強行日程になってしまっていた。何だかんだとバタバタした中で受けたコンクールでもあったのだが、こういうときに限って良い結果が出る、というのも不思議なものだ。

僕が弾いた曲は、セミファイナルのメインにシューマンのソナタ1番(第1楽章)、ファイナルのメインにベートーヴェンのOp.2-3のソナタ(全楽章)、バッハは平均律1巻fis-moll、ショパンエチュードはOp.10-1、ショパン以外のエチュードにラフマニノフのエチュードタブローOp.39-1、という感じの組み合わせだった。

ちなみに、この時のファイナリストには、後に藝大を僕の学年の主席で卒業する秋場敬浩君(現在、僕自身密かに彼のファンでもある)をはじめ結構なメンバーがいたはずなのだが、なぜ1位の評価がコンクール・演奏会ともに経験の浅かった僕のところ転がり込んだのか、今もって謎である(僕自身の中での出来栄えという点では、当時の力量から考え得る最大限だったのは確かだけれど)。

結局のところ、コンクールの結果には、「運」という要素も相当幅をきかせている。このページを偶然読んで下さった方には、くれぐれもコンクールの結果とピアニストの実力を、決して「安易には」結び付けないよう、お願いしたいところである。

PTNA
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