フランクwith大フィル
大フィルとのコンチェルトは、非常に楽しかった。フランクのシンフォニック・ヴァリエーションを弾かせてもらったのだが、「ピアニスト孤軍奮闘」の曲でなく「一緒に音楽をつくる」曲にして、本当に良かったと思う。指揮の飯森範親氏も僕が狙った流れを先読みするような緻密なアンサンブルでサポートして下さり、かなり自由に弾かせてもらうことができた。
後から振り返ると、「思い切ってオケより後に弾く」という部分にはやや硬さがあったか(録音をチェックして洗い出した反省点で、音コンファイナルのリストでは多少改善していたと思う)。ピアノはオケのほとんどの楽器より鋭角的に音が立ち上がるので、結果としてオケの方が拍点の「幅」がずっと広い。この時の録音を聴く限り、僕は主にその「幅」の前半のうちに音を出していたのだが、それに加えて「オケの音が立ち上がりきった瞬間」に発音する、という選択肢(分かり易く言えば、「ズドーン」というオケの響きの、「ズ」ではなく「ド」に乗っかる、ということ)への意識を演奏中より強くした方が良いかな、と。ただ、客席と自分の聴こえ方は全然違うし、そもそも指揮者のタクトとオケの発音、またオケの中でもパート間で微妙なタイムラグがあるので、指揮とコンタクトを取りながら発音の微妙なタイミングを測るのは、相当難しいことではあるのだけれど…。